金（ゴールド）はその高い導電性、耐腐食性、加工のしやすさから、工業分野でも重要な素材として幅広く利用されています。最も代表的な用途は電子部品で、スマートフォンやパソコン、テレビ、自動車などの内部に使われる接点やコネクタに金メッキが施されています。これにより、電気信号の安定した伝導と長期的な信頼性が確保されます。

また、金は非常に薄く延ばしても切れにくく、わずかな量でも高性能を発揮するため、微細な電子部品に適しています。特に宇宙産業や航空機産業では、過酷な環境でも劣化しない金の特性が重宝され、人工衛星や宇宙探査機の回路や反射材にも使われています。

さらに、医療分野でも金は活躍しており、歯科用合金や関節インプラント、さらにはがん治療におけるナノ粒子としての利用も進められています。加えて、触媒としての利用も一部で研究されており、環境負荷の少ない化学反応の促進剤としての応用が期待されています。

このように、金は装飾品や資産としてだけでなく、現代の最先端技術を支える貴重な工業材料でもあります。